「ウチの会社っていつまで持つの?」
「10年後もリストラされずに同じように働けているだろうか?」
会社員なら誰もが思う不安ですよね?
「会社に頼ることなく、市場で評価されて自分で稼げる力を身につけたい!」
だったら起業?フリーランス??
でも会社を離れてやっていける自信はないし、、守らなきゃいけない家族もいるし、、。
起業(自営業含む)するか、かそれとも会社員か?
この答え、どうやら二者択一ではないようです。
そんな視点を与えてくれる本が今日ご紹介する「10%起業 一割の時間で成功をつかむ方法」です。
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10%起業 1割の時間で成功をつかむ方法
今回読んだ本はこちらです。
idea hacks!やビジネスモデル・ジェネレーションの翻訳で有名なコンセプトクリエイター小山龍介さんが序文を書いています。小山さん自身も本業をもちつつ、リソースの10%を新たなジャンルに投入することで、出版、地域おこし事業など、仕事のカテゴリーを広げることができたと書かれています。
10%起業とは?
本業を続けつつ、リソース(時間、資金等)の10%を個人のビジネス(=副業)に費やすことをいいます。本業を辞める必要がないので、生活も安定させつつ、精神的にも経済的にもさらなる充実を求めることができます。
仮に失敗しても生活は破綻しませんし、本業があるからこそ時に大胆なチャレンジが可能でうす。
アップルはガレージからスタートしたという伝説は嘘??
本書ではアップルのような企業も、もともとは本業との掛け持ちから生まれたと説明しています。
例としてアップル社の伝説を見てみよう。スティーブ・ウォズニアックとスティーブ・ジョブズがアップルをつくるきっかけとなったカリフォルニア州のガレージは、今では多くの人が訪れる巡礼地となっている。起業を志す人々やアップルのファンがガレージの前で自撮りしている姿がよく見受けられる。シリコンバレーにはガレージ神話がいくつかあるがアップルのそれが世界で最もよく知られている。しかしこれは実話ではない。2014年にウォズニアック自身がアップルがガレージで始まったというのは「神話のようなもの」であり、本当の仕事は、、、ヒューレット・パッカード社内の自分のデスクでやっていた」と告白している。
本業と掛け持ちして開発をしていた様子が伺えるエピソードですね。
フルタイム起業家になるべきではない5つの理由
本書では更にフルタイム起業家になるべきではない理由を5つあげています。
1.生活のバランスが崩れるかもしれない
たくさんの費用と労働をつぎ込んでパン屋をオープンしたのに、弁護士事務所にいたほうがよかったと気づいた時にはどんなに惨めな思いをするだろう。友だちのためにクッキーを焼くのは楽しかったが、それを毎日12時間続けるのは苦痛でしかない、とすべてを犠牲にしてしまってから気づくのだ。
確かに、趣味でやっている分には楽しいけど、フルタイムでやると辛くなるというものはたくさんありそうです。10%ルールを適用すれば、少しづつ試せるので、本当に最適かどうかを段階的にチェックできます。
2.貧乏になるかもしれない
起業家が成功するまでの期間、貯金を切り崩し、複数のクレジットカードを使い分けながらなんとか食いつないでいたという苦労話は好まれる。しかしクレジットを返済できなかったという話はだれも話したがらない。
ほとんどの人の一番大きい不安はこれではないでしょうか?お金を失って生活が破綻すること。これは恐怖以外のなにものでもありません。
3.社会的立場を失うかもしれない
仕事は、ある人物の社会的立場を決める要素となる。一流のキャリアがあれば同僚、家族、友人から尊敬され、賞賛の的になる。しかし、キャリアに変化が生じれば、友人や社会があなたの見る目が変わる。それどころか、あなた自身の自分に対する評価も変わるだろう。こうした変化についていけないものも多い。
肩書やポジションでその人物を評価する、されてしまうという側面は、社会には必ずあります。社会的なラベリングとはいえ、自分が何者でもなくなるというのは結構なプレッシャーですよね?
それは本当にいいアイディア?
そして、大学を中退して自分のエネルギーのすべてを夢の実現に注ぐべきか悩んでいるという。興味をそそられた私は、彼にそのアイディアについて話すように促した。起業のためにすべてをなげうってもいいというのだから、よほど優れたアイディアに違いない。彼は微笑み、胸を張ってこう言った。「犬のための出会い系アプリをつくるつもりです」。かしこい動物といえども、発情した犬がパートナーを見つけるのにアプリを使うことはない、と私は説明したが、彼は聞く耳をもたない。結局彼を説得するのに15分かかった。
犬の出合い系サイト、飼い主に働きかければそこまで悪くないアイディアに思えるのは私だけでしょうか?(笑)
いずれにせよ、アイディアの検証と評価、修正、改善には時間的にも金銭的にもコストが掛かりそうです。
その期間を無収入で耐えるのは正直辛そうです。
失敗を繰り返すかもしれない
もし成功する可能性が50%を超えると考えていたのに、実際の事業がうまくいかなかったら、もし失敗が繰り返されたら、それにともなう経済的、精神的、社会的損害にあなたは耐えられるだろか?ある時点を超えると、起業失敗の代償は際限なく膨らみ始める。特に結婚や出産、あるいは家の購入を予定している人々にとっては厳しい現実だ。
著者は失敗が名誉の負傷であるように美化される傾向に警鐘を鳴らしています。
「失敗は成功のもと」なんていいますが失敗なんてない方がいいに決まっています。仮に失敗しても痛みは少ないほうがいいはずです。
何からはじめればいい?10%を投資するコツ
いざ何かを始めようとしても、何から始めればよいか、わからないものですよね。
この本では本業に近いジャンルを選ぶことを推奨しています。
起業家の卵として、あなたも安全地帯から一歩抜け出さなければならない。だからこそ、自分がよく理解している領域、「ホームグラウンドに近い場所を選び、それを自分の残りの人生に取り込まなくてはならない、とマイケルは説明する。そうすることで、あなたは自分がやってきていることをよく理解できるし、知的資産をうまく活用しながら、その際の経験を楽しむことができる。
自分の鼻が利くジャンルを選んで、始めると効果的だそうです(ただしまったく同じ業種でなくてもよい)。
本業に近いジャンルを選ぶことで、普段の仕事での気づきをそのまま利用できたり、本業とのシナジー効果が期待できそうです。
また本書では、資金ぐりやチームづくりについても一章かけて詳細に説明されています。一緒に働いて良いメンバーかどうか?のチェックリストもありますので実践的です。
「10%起業 一割の時間で成功をつかむ方法 」書評 まとめ
この本の秀逸な点は起業をイチかバチかのギャンブルだと捉えていないことです。
大抵の人は怖がりだし、強くありません。私もそうです。できるだけリスクは避けたいが、それでもメリットは享受したいという都合のいい人間です。
本書はビジネスプランから資金繰り、チーム作りまで、本業を続けながら小さくビジネスはじめるメリットについて体系的にまとまっている本です。
起業というと「スタートアップ」やら「何億円調達!」など派手な言葉がニュースサイトに掲載さがちですが、もっと静かで地味な起業だってあってもいいのでは?と思っていました。
「静かに小さく初めて本業を辞めることなく事業を伸ばしていく」
本書は派手さはありませんが、そんな堅実な方法を提示してくれます。
今の仕事に不満がある方にも、そしてない方にも自分の仕事の幅を広げる視点としてオススメできる本です。
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